たばこの増税

「タバコ吸ってもいいですか?」


「構いませんよ。」

























ただし、煙は吐かないでね






で、おなじみのまるごです。



世界のたばこ事情 日本の価格は安過ぎる!?(産経新聞)



最近、たばこの増税の話が良く話題に上ります。









私は、たばこも吸いませんし、
たばこは嫌いです。


麻酔科医としては、
麻酔管理上たばこは敵だと思っています。




ただ、

「本当に健康上悪いものならば、何故禁止にしないのか」
「一方で販売しておいて、一方で増税というのはおかしいじゃないか」

というのには、一部反対です。




健康増進法が出来て、
病院は基本的に敷地内禁煙になりました。

特に禁煙外来を行うには、
敷地内に喫煙場所が無いことが条件になっています。



この結果、病院の門で
たばこを吸う人が増えて、
病院に入る時に、必ず
受動喫煙をしてしまうはめになりました。




原理主義的に煙草を排除すれば、
必ずいる「やめられない人」が
地下に潜る事になります。


敷地内から排除して、
周りに全部押し付け、
自分だけ棚に上がって、
「「クリーンです」というのはおかしいです。

近隣の住民に迷惑を掛け、
病院の周りを吸い殻で汚して、
それで敷地内禁煙と言っても…。


病院などは、絶対「分煙」にすべきです。


禁止すれば、隠れて吸うだけです。


それよりは、喫煙場所を与えて、
管理するのが病院の正しいあり方だと思うのです。



まして、法律でたばこを禁止する、
など論外ですね。


違法になれば、違法のたばこが出回るだけの事。

実態が把握できなくなるだけで、
喫煙者がいなくなる事はありません。





また、

「健康に害があるものだから法律で禁止」

というのは

歩かないと健康に悪いから、車は違法、とか

目に悪く、ドライアイの原因になるので、パソコンは違法、とか

そういう次元の議論に見えます。















「煙草だけが目の敵にされるのはおかしい」




一見正論です。



私は、冒頭に述べた通り、
煙草を吸うのは自由だと思っています。

ただし、煙を吐くのは自由ではない。



たばこの煙には、
大きく3つの有害物質が含まれます。

ニコチン・タール・一酸化炭素


このうち、タールがいわゆる発がん物質です。



でも、目の前で煙を吐かれた時に、
即効性のある毒物は、
ニコチンと一酸化炭素の方です。


ニコチンには、
血管収縮、頻脈、血圧上昇
などの、心血管系への作用があります。

一酸化炭素はご存知の通り。
酸素をヘモグロビンが運べなくします。




非喫煙者が、目の前でたばこを吸われて
頭痛や吐き気など気分が悪くなるのは、
こういう作用によります。

普段からたばこを吸う人は、
慣れてしまっていて気付かない作用かも知れません。



その他、親の喫煙が、
子供の喘息、アトピーの
原因になっている事もあります。




他の嗜好品に比べて、
そういう点がやり玉に挙がる要因だと思うのです。

「副流煙まで、全て飲み込んで吐き出さない」

とか、あるいはいっそ

「煙草をそのまま食べる」

とかすれば、完全に本人の自由なので、
そこまで叩かれないと思うんですね。











正直、たばこを吸う人が
どんだけ健康を害しても、
あまり知ったこっちゃない。

けど、子供が咳き込んでいる横で、
平気でたばこを吸う親とかを見ると、
ある程度規制もやむなしかな、
と思います。




煙草の禁止は、犯罪者を増やすだけだ
と思っていますのでやめて頂いて、
たばこの増税、料金アップは、
まあバランス良い所なのかな、と思います。

あとは、分煙を進めていく。
それも形だけ分けて、
禁煙席に煙が来るような半端な分煙じゃなく、
インフルエンザ対策並みに、
神経質な位煙をシャットアウトする
そういう分煙を行っていく。


喫煙者がたばこを吸えるスペースは残していく方が、
マナーの向上には良いと思います。
















ついでに麻酔科医として言わせてもらえば、
喫煙者の麻酔管理料も上げて欲しいです。


全身麻酔、特に人工呼吸をする際に、
喫煙の有無は、顕著に差が出ます。




全身麻酔の前には、禁煙をお願いするのですが、
大抵は、ギリギリまで吸ってきます。



禁煙期間とその効果については、



・12~24時間・・・一酸化炭素濃度とニコチン濃度の低下
・48~72時間・・・一酸化炭素ヘモグロビン濃度の正常化、繊毛機能の改善
・1~2週間・・・痰産生の減少
・4~6週間・・・肺機能検査の改善
・6~8週間・・・免疫機能と代謝の正常化
・8~12週間・・・全般的な術後の罹患率と死亡率の低下



一日やめるだけでも、

ニコチンの作用による頻脈
一酸化炭素濃度の低下による、酸素運搬能の改善

等、麻酔を掛ける上で管理しやすくなる効果があります。


ただ、一番問題になるのは、「痰」ですから
麻酔科的には、最低2週間の禁煙を求めます。



外科医の立場で言えば、
怖いのは感染症の合併なので、
免疫能が戻る位禁煙しておいてほしいです。

つまり、約2か月前から禁煙が必要という事。


それだけ禁煙しても、
肺気腫になった肺は元に戻らないのですけどね…。







そういう努力をせず、自分の責任でたばこを吸っていて、


DPCだから、治療が長引いても支払いは一緒


って、非喫煙者とあまりに不公平じゃありませんか?





合併症で本人が苦しむのは自己責任として、
そのコストを病院が持つという今の医療制度は
おかしくないですか?





たばこを吸わる方は、それぞれ
病気になる覚悟はされているようなので、
その覚悟は尊重したいです。


肺気腫になって、
真綿で絞められうように呼吸苦が来て、
何年も息苦しさと付き合っていきながら、
それでもたばこを吸う。

その生き様は、ある意味尊敬に値します。



ただ、その医療費の面で
人様に迷惑を掛けるのは頂けないです。



たばこ税増税分は診療報酬に回し、
喫煙者は医療費負担を上乗せする。


煙草に限らず、不節制による健康の悪化は、
ステージごとに、段階的に
自己負担を上げるべきかと思うのですが。


早めに予防する方がお金が掛かり、
いよいよ悪化させると、公費で賄われる。


健康に気を使いながら働いて
税金を納めている人からすると、
やや不公平感がありませんか?






喫煙者は、人より多く納税している。



まあ、立派と言えば立派です。

が、

ひとたび在宅酸素にでもなれば、
あっという間に、
今までたばこで納税した額がチャラになる位
医療費が掛かります。




確かに、喫煙者でも、病気をしない人もいますし、
喫煙しなくても病気になる人はいます。


喫煙者に必ず医療費が掛かる訳ではありません。


だから、私の書いている事は、
極論であり、暴論であるとは思います。














ただ、

喫煙者が麻酔を受ける時、
確実に麻酔科医は余分な苦労をする。




これだけ知っておいてもらえれば、私は満足です。






以上、現場からまるごがお伝えしました。







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