押尾学 女性死亡公判  ~私なりの医学的検証~

どうも、お久しぶりです。



最近、珍しく学会発表の準備などと言う
アカデミックな事をやっていたので、
すっかり更新が滞ってしまいました。



にもかかわらず、
結構沢山の方が見に来て下さっているので、
また頑張って更新して行きたいと思います。





さて、今話題の押尾学被告の裁判です。


(1)細かい文字で埋め尽くされたノート…被告人質問迎えた心中は 女性死亡事件6回公判・法廷ライブ


(2)弁護側の医師「救命可能性はきわめて低い」検察側証人と真逆の見解 女性死亡事件6回公判・法廷ライブ


(3)性交渉後、元妻の矢田亜希子さんに平然とメール 検察が指摘 女性死亡事件6回公判・法廷ライブ


(4)「『助かる可能性低い』と説明しなければ」出廷理由明かす医師 女性死亡事件6回公判・法廷ライブ


(5)「長期的でも、3、4割しか助からない」医師は低い救命率を提示 女性死亡事件6回公判・法廷ライブ



検察側弁護側双方から、
救急の専門医が証言に立ち、
その意見が真っ二つに割れております。


争点は、
すぐ病院に搬送すれば救命し得たか、
という事で、

検察側は、

100%に近い確率で救命し得た

と証言し、

弁護側は、

致死量の血中濃度だったので、
病院に行っても助からなかった


と証言しております。




ちなみに私は、法廷に出てきたような
立派な肩書のある医師ではありません。

地方中核病院で、
細々とやっている麻酔科医に過ぎません。
ただ、私なりに検証をしてみたくなりましたので、
少しお付き合いください。






まず、
「致死量とは何ぞや?」
という事から行きましょう。



国語辞典を引くと、


ちしりょう ―りやう 2 【致死量】

生体を死にいたらせるに足りる薬物の量。




と、あります。



つまり、死に至らしめる事が出来る量
という事です。


「薬石効無く、必ず100%死に至らしめ得る量」

ではありません。



弁護側証人は、
血中濃度が致死量の数倍で、
且つ透析などで血中濃度を下げられず、
解毒剤もない。

だから病院に行っても助からないと言います。





では、同じく透析も効かず、解毒剤もない
テトロドトキシンはどうでしょうか?



いわゆるフグ毒で、致死量は2~3mgです。


致死量のフグ毒を摂取したら100%死ぬかと言えば、
確かに未治療なら100%死ぬと思われます。



しかし、
病院に行って人工呼吸器をつなぐ事で、

高い確率で救命できる

と言われています。




致死量=100%死亡
というのは、治療しない事が前提の話です。




では、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン

つまりMDMAはどうなのでしょうか?



MDMAの急性中毒の症状は、


中枢神経刺激作用(興奮,幻覚,妄想)と
交感神経刺激作用(頻脈,散瞳,発汗,血圧上昇)

重症例では
昏睡,高体温,ショック,痙攣,横紋筋融解,急性腎不全,心室細動
著明な高血圧に伴い脳内出血

といったものになります。

非常に熱中症の症状に似ています。
というか、病態は熱中症とほぼ同じと思われます。









生命を脅かす最初の関門が
けいれん。

激しいけいれんによる窒息です。

短時間で死に至る場合、
これがほとんどと思われます。

これは、救急隊が着いて
適切な気道確保と酸素投与をするだけで
かなりしのげると思われます。


因みに、口から泡を吹いていたというのを、
検察側の証人は「肺水腫」と言っていましたが、
私は、けいれんで泡を吹いていたのでは
と考えています。

肺水腫では、
気管内挿管したチューブから泡を吹きますが、
滅多に口から泡は吹きません。






次に体温上昇と、強力な脱水、
横紋筋融解が起こってきます。




この脱水が、薬物の血中濃度を
更に上げる要因になります。



逆に言うと、

点滴をすれば薬物血中濃度は下がると言う事


そして横紋筋融解、
つまり、筋肉が壊死してい行く事で、
色々な毒物が体内に放出され、
生命を脅かすのですが、これは、
クラッシュ症候群や、マムシ咬症と似ています。


特に、血中カリウムの上昇が、
致死的不整脈を起こす原因となるので、
これが、命を脅かす第二の要因になります。


これについては、応急処置としては、大量輸液と
不整脈が起こった時のAED,となります。
これも、救急隊が着いた時点で治療開始が可能です。



先程脱水と書きましたが、
これは血管の外に水が出て行く事で起こります。
つまり「むくみ」というやつで、
肺水腫や心不全などが、
同時に起こる可能性があると言う事です。


ただ、これは、
窒息や不整脈よりは少し時間の余裕があるので、
救急病院に着いて対応が出来ると思います。


最終的な生命を脅かす病態は、
この心不全・肺水腫といった循環不全と
脱水や横紋筋融解で起こる腎不全
そして、高体温による脳障害・多臓器不全になります。



ここで重要なのは、
時間と共に薬物血中濃度が薄れれば、
危機的状況から改善する可能性が
あると言う事です。



人工透析でも、補助循環でも人工心肺でも
何でも使って何とか生命を維持し、
体温を下げて脳保護が出来れば、
回復の可能性はあると言う事。




救命率ほぼ100%は言い過ぎだと思います。

ただ、致死量については、
耐性が生じるので常習者ほど高く、
一般的に致死量を設定する事は
不可能であるという事実。


血中濃度も
ショックによって循環血液量が急激に奪われて
相対的に血中濃度が上がって行くという事実、
そして、輸液によって血中濃度が下がり得る
という事実。


ただしこれは、輸液で体内の薬物を
排出できるという話では無く、
死後の血液で調べた血中濃度が、
いかに曖昧なものか、というお話 #


自ら、長期的な救命率3~4割と言いながら、
「病院に運んでも助からないのだから結果は一緒」
という弁護側証人。



救急医療・中毒医療のトップが

「どうせ助からないのに」

と思いながら、医療を行っていると考えると、
嫌悪感を禁じ得ません。


しかも、うちの実家が
この先生の救急医療圏なんですよね。


色々書くのは倫理的に問題があるので、
病院の評判とか、
そういう話はここでは述べません。


ただ、この先生とは、
目指しているものが違うな、
とは思います。

価値観の違いなのだと思います。


私は、
10分かそこら心肺蘇生をした事を
蜘蛛の糸だとは思えませんし、
救急車を呼んで連れてきて欲しいと思います。


救急なんて、搬送患者の
1%も助けられない職場です。


それでも運命に抗うのが
救急医だと考えています。



「どうせ1%も助からないんだし…」



と考える救命救急医は
一人もいないと思っていました。






今回の裁判で、医学的検証は
論点の一部に過ぎません。


「保護責任」

が否定されれば、
この議論は全く無意味になります。




なんか、シドニー・ルメット監督の
「評決」
という映画を思い出します。


判決は17日。

法廷での判断は、
どっちに転ぶかは分かりません。



ただ、
法的な話では無く、倫理の問題として、
救急車を呼ばない行為を受け入れる事は、
医師としての自分のバックボーンを
否定する事だと考えております。




以上、現場からまるごがお伝えしました。





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この記事へのコメント

ねこにゃ~
2010年09月14日 15:31
通りがかりに拝見しものすごく腑に落ちました!!
弁護側証人の発言が納得できずに救命を仕事とする人がこの発言ってどうなの?とモンモンとしていたのです。
亡くなった田中さんは自殺した訳ではないので万に一つの可能性で生き永らえたら『生きる』ことをもっと深く考え薬物から抜け出せたのではないかとも思うのです。
判決がどうなるかはわかりませんが自分の中ではスッキリする事ができました。
GOLDHUMMER
2010年09月14日 15:58
たまたま拝見し、とてもスッキリいたしました
弁護側証人の証言はまるで、救急車なんか呼んでも助からないものは助からないのだから、意味なんかないと言っているようでとても不愉快だったのですが、救命とはそういうものでないと否定する話が聞けたのは嬉しかったです。
私自身、4年前に脳卒中で倒れ生死の境をさまよった体験を持っていて、救命医療によって文字通り命を救ってもらったことがあります
判決がどうなるかはわかりませんが、どうせ助からないのだから、救急車を呼ばなくても問題はなかったなどという非倫理的な話は認められないように願っています。
通りすがり
2010年09月14日 19:07
私の母は、急性アナフィラキシーになり、後10分到着が遅れていたら、助からなかったと言われた状態でしたが、救急センターのお医者様の的確で迅速な救命処置で助けて頂きました。救急車で搬送される際に、血管確保の点滴、人工呼吸器の装着をして頂けたのも助かった要因でした。事象は全く違いますが、的確で迅速な救命処置がいかに大事か、お医者様でなくても分かります。お仕事頑張って下さい。貴方のようなお医者様達がいる事がとても心強いです。証人の方のような考えのお医者様にあたる事がないよう、祈るばかりです。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:01
今回証言した和白病院の冨岡です。

今回の私の発言についてコメントいただいてありがとうございます。
ご指摘いただいた点について、少し説明させてください。

まず、私の証言内容について、部分的に切り取られて伝わり誤解を招いているところがあると思います。できましたら、証言の流れをまずご覧ください。

比較的正確な要約は以下にあります。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100914-OHT1T00041.htm

時間がある方はこちらも。こちらのほうが詳しく書いています。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100913/trl1009131145003-n1.htm

さて、今回私が証人として出廷したのは、押尾被告を弁護する目的ではありません。中立的な立場で、今回亡くなられた患者さんに救命の可能性があったかと、押尾被告が「何もしなかったか」について医学的な見地を述べるためです。たまたま弁護側から要請があったので出廷し、証言しましたが、検察側から同じことを聞かれても、同じように答えたでしょう。(よく「弁護側の証人」と書かれていますが、証人は裁判所が指定します。私は弁護側の推薦を受けましたが、押尾被告を弁護する目的で引き受けたわけではありません。)
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:02
私に対してなされた質問は以下の三つのポイントに絞られます。

1.今回の被害者の死因は?
2.今回の被害者を救命できた可能性は?
3.被害者の様子がおかしくなったあと、押尾被告が取った行動を医学的に評価するとどうか?

これに対する私の答は

1.MDMAを服用したことによって引き起こされた重症のセロトニン症候群と思われる。
2.被害者のMDMAの血中濃度は、いわゆる「致死量」をはるかに超えており、この血中濃度での生存例の報告はないことから、救命の可能性はゼロではないが非常に低かった。
3.ベストとは言えないが、胸部圧迫法(心臓マッサージ)などの蘇生処置を行ったことだけは評価でき、「何もせず放置した」とは言えない。

ということであり、それ以上でもそれ以下でもありません。

私が、さまざまな批判を浴びることを覚悟であの場に出て行ったのは、検察側の証人に立たれた先生が、「100%(近く)救命できたはず」ということをおっしゃることがわかり、この点は訂正すべきだと考えたからです。

今回の患者さんのMDMAの血中濃度は、一般的に言われている「致死量」の2倍以上ありました。薬物の「致死量」は絶対的なものではなく、血中濃度が「致死量」を超えていても救命できるケースはあります。しかし、血中濃度が高くなればなるほど死亡率が上がるのもまた明らかで、実際、今回出廷するに当たって、MDMAを服用して亡くなられた患者さんのデータをできる限り調べてみたのですが、MDMAの血中濃度が今回の患者さんと同じかそれ以上で救命できた症例はありませんでした。むしろもっと低い濃度でも死亡例がたくさんあります。もちろん、私が調べ得ていない症例もあると思いますので、絶対に救命できないとは言いませんが、今回の患者さんが救命の可能性がかなり低かったことは確かだと思います。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:03
今回の患者さんが、全く基礎疾患のない(もともと病気を持っていない)健康な若い女性で、突然心停止になり、直ちに蘇生が行われたのであれば、検察側の証人の先生のおっしゃっている「病院であった場合は100%に近いといえますが、9割方といえるかもしれません。また、救急隊員が 心臓マッサージを現場で行っていれば、8割方助かっていると思います」ということは正しいと思います。しかし、この先生は、血中濃度がはるかに致死量を超えていた、という事実を考慮されていません。私が指摘したいのはそのことです。

検察側の証人の先生は、救命救急領域では権威のある方ですが、必ずしも中毒にお詳しいわけではありません。実際、前回の法廷で、「私は中毒の専門家でなく、詳しいことはわかりません」とおっしゃっています。

弁護人「一般的な致死量はどの程度だと考えておられますか」
証人「それは個別具体的で専門的なことなので分かりません」
弁護人「これまでにもMDMA服用による死亡例はあります。この際の血中濃度は?」
証人「個別具体的なことは分かりません」(msn産経より)

もし検察側の証人の先生の発言が正しいと認められた場合、「MDMA中毒は、適切な治療さえすれば100%近く助かる」という判例が残ることになります。そうなると、今後、MDMA中毒の患者さんが医療機関に搬入され、亡くなられた場合、血中濃度が致死量をはるかに超えていても、「医療機関の処置が悪かったから、助かるはずだったのに助からなかった。」ということになりかねません。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:05
実際には、MDMAを服用したあと、救命救急センターに搬入されたのに死亡した例は少なからずあります。こういった症例の医療処置を調べても、決して誤診したわけでも、誤った治療をしたわけでもありませんが、しかし結果的に救命できていません。このような例まで、「医療機関の処置が悪かったから助からなかった。」ということになってしまうと、重症のMDMA中毒患者さんを引き受ける医療機関はなくなってしまいます。

また、検察官から「死亡したときの血中濃度は高かったとしても、異常行動を起こした際の血中濃度はもう少し低かったのではないか」という質問をいただきました。
その可能性はあると思います。しかし、その時点で治療を開始していても、血中濃度を急激に下げることは不可能だったはずです。

MDMAには有効な解毒剤は存在しません。また、MDMAは血液から速やかに体内に移行するので、大量輸液(点滴をたくさんする)や、血液透析などでは、血中濃度を下げることはできません。(専門的に言うと、分布容積(Vd)が非常に大きい薬剤です。)さらに、胃からの吸収が早いため、胃洗浄はほとんど意味はありません。
これが、今回の患者さんが、早い時点で医療機関に搬入されたとしても、血中濃度を劇的に下げることは困難であったとする根拠です。ただし、血中濃度を下げられなくても、肺水腫や高体温に対する治療はできたと思いますので、早い時点で医療機関に運ばれていれば、同じ血中濃度であっても救命の可能性は上がった可能性はあります。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:07
また、私が「救命の可能性が低かったから処置の必要はない」と発言したかのような誤解をされている方もおられるようですが、私はそのようなことは一切言っていません。今回証言したのは、純粋に科学的に見た救命の可能性であり、それと、治療する市内は別の話です。

今回の患者さんが(まだ心停止に至る前に)病院に搬入され、私が救急医として治療を担当したとしたら、救命の可能性が少しでもある限り、いや、ほとんどゼロでも、救命のためにベストを尽くしたと思います。しかし、治療の過程で、MDMAの血中濃度が、今まで報告されている救命例をはるかに超えている、あるいは一般的に言われている致死量をはるかに超えていることがわかったら、治療を続けながら、ご家族には「できる限りのことはしますが、救命の可能性は難しいかもしれません。」と言うと思います。

応急処置に関しては、押尾被告が、今回の患者さんの容態がおかしくなったあとに取った行為は100%とは言えません。おかしくなったと思った時点で救急車を呼ぶのがベストです。しかし、胸部圧迫(心臓マッサージ)だけでも行ったとすれば、多少なりとも蘇生の努力をしたと評価はできるだろうとお答えしました。
ただし、検察官が質問したように、明らかに死亡した後に「偽装」として行ったとすればその限りではありませんが、実際に心臓が止まった直後に胸部圧迫を始めたのか、時間がかなり経ってから始めたのかは、押尾被告にしかわかりませんので、一般論としてのことをお話ししました。ふだんから、一般市民の方には、「目の前で人が倒れたら、どんなことでもいいから、できることをしてください。何もしないよりは、何かをしてください。」と教えています。「蘇生においては、どんな試みであっても、何もしないよりはずっといい」とも言われています。それを踏まえてのことです。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:09
繰り返しになりますが、私は押尾被告の味方でも敵でもありません。
客観的な事実を述べたのみです。
ただ、報道だけでは誤解を招きかねないので、あえてコメントさせていただきました。

ご疑問がある方は私あてにメールをどうぞ。
jtomioka「アットマーク」me.com
(「アットマーク」を「@」に置き換えてくださいね
すぐに確実にお返事を返せない場合はご了承を。)

参考文献の主なものを挙げておきます。

1)内藤裕史 興奮剤とデザイナー・ドラッグ(1) 中毒研究 23:3-15, 2010
2)内藤裕史 興奮剤とデザイナー・ドラッグ(2) 中毒研究 23:97-104, 2010
3)浅村英樹他 MDMAによる急性中毒死の1例 法医学の実際と研究 49:69-72 2006
4)水上創他 MDMAが検出された5剖検例の検討 法医学の実際と研究 51:125-130 2006
5)Mueller et al. Death by "Ectasy" : The Serotonin Syndrome? Annals of Emergency Medicine 32:3 377-380 1998
6)Boyer et al. The Serotonin Syndrome N Engl J Med 2005;352:1112-20.
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 18:30
最後になりますが、私の証言にコメントいただいたことに感謝いたします。
「どうせ助からない」と思って診療は行っておりませんので、その点はご安心ください(^^)
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 23:13

先ほどは出先で書いていたので、少し追加させてください。
くどくて申し訳ありません(笑)
まず、
<自ら、長期的な救命率3~4割と言いながら、「病院に運んでも助からないのだから結果は一緒」という弁護側証人。>

→私はこんなことは言っていません。
「結果は一緒」というのは、血中濃度のことです。
これは、証言の終わり間際に、裁判長からされた質問に答えたものです。

裁判長「ごらんになった鑑定書の血中濃度は、(田中さんが)死亡したときのもので、救急隊が死亡前に田中さんに接触したときに、濃度が上がらないようにできたのでしょうか」
証人「ありえません。治療法がないので。早く病院に運んでも下げられないので、早かったか遅かったかは関係ないのです。」
裁判長「救急隊が血中に酸素を入れても、MDMA濃度が高くなるのは止まらないということですか」
証人「おっしゃるとおりです。」(msn産経より)
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 23:13
また、「運んでも助からない」とは言っていません。
早く医療機関へ搬送されれば、救命の可能性が上がったことは私も説明しています。

弁護人「救急隊員が(現場に)到着した時点ですでに心肺停止したり、心室細動が起きていたりした場 合、救命可能性はどのくらいあったのでしょうか」
証人「これは、田中さんのMDMAの血中濃度が致死量を超えていたという前提ですが、心配停止し、心室細動すら起きていない場合は、救命可能性はゼロです。心室細動があれば数%。ゼロではありませ ん」
弁護人「救命救急センターに搬送中に、心肺停止したり、心室細動が起きていた場合の救命可能性は?」
証人「いかに早く病院に着いたかというのがキーポイントになるのですが、さきほどの場合よりは可能性が上がりますから、約20~30%はあったのではないでしょうか」
弁護人「病院に搬送後、心肺停止したり、心室細動が起きていた場合は?」
証人「救命救急センターで最新の治療が施せることを考えれば、20~40%はあったのではないでしょうか」(msn産経より)

おそらく、この2つの証言がごっちゃになって「病院に運んでも助からないのだから結果は一緒」と私が証言したと誤解されているのだと思いますが、そうではありません。私が証言したのは、過去の記録を見ても、この血中濃度で救命された例はなく、従って、救命の可能性は低かった、ということです。
冨岡譲二@福岡和白病院
2010年09月19日 23:14
また
「致死量については、耐性が生じるので常習者ほど高く、一般的に致死量を設定する事は不可能であるという事実。」
これは、誤解ではないかと思います。「致死量」にはいくつかの意味があります。たとえば動物実験で半数が死んでしまう量(LD50)をいう場合もありますが、人間と動物では薬物の分解経路が異なる場合があるので、あくまで目安に過ぎません。これに対し、実際に薬物を服用して助かった方、亡くなった方の血中濃度を調べていき、だいたいこれくらい以上なら死亡する可能性が高い、という決め方もあります。これは、服用した患者さんの体重や年齢、それに耐性などを考慮していませんから、多少のばらつきが出てきますが、それでも、症例を増やしていくと、これ以上で助かった例はない、というポイントが出てきます。こういった形で「致死量」を決めるのは不可能ではありません。今回の患者さんの場合、致死量より数倍であり、なおかつ今まで報告された生存例より高い血中濃度でしたので、救命の可能性はかなり低かったと思われます。
また、薬剤には耐性を生じるものもありますが、逆に、連用することで毒性が上がるものがあります。MDMAはこの典型で、肝臓でMDMAを分解する酵素であるCYP2D6の作用を阻害する作用があり、MDMAを繰り返し摂取することによって、MDMAの毒性は高まることが知られています。今回の患者さんもこういった現象が起こった可能性があります。(参考文献2のp99-100あたりをご覧ください)
以上、ちょっとくどくなりましたが、ご参考までに。
看護学生
2010年09月24日 20:38
押尾学の判決に疑問を抱いてました。

もし助からないとしても救命はして欲しいと
思っていたからです。
なによりも、証拠隠滅に走っていて
救命はしていないと思っていたから。

押尾学の証人=富岡さんのコメントをみて
医療者なら客観的に判断することが大切なんだと気づきました。

確かに、救命して欲しい感情は抑え切れませんが…
今回の争点は救命の意義ではなく
救命できたか?なんですよね。

そういった専門的なものは看護師でも
なかなか分かりにくく
臨床経験や勉強した医師だからこそ
証人として発言できたのだと思います。

マスコミに振り回されてしまう世の中ですが
マスコミは一般的に視聴率が取れそうな言い回しや編集をしています。

マスコミに振り回されることなく、自分でも勉強して自分の見解を持てたらいいんですけどね。

思いついたままにコメントしていて
文章の乱雑等あると思います。

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