多剤耐性アシネトバクター菌という表現への違和感

初っ端から
やや不快な話で申し訳ありません。







「えんがちょ」

って、やった事ありますか?




民俗学的には、歴史は古い物の様ですが、
要は、穢れを防ぐおまじないです。


たとえば、
ある人が何か汚いものを触ってしまった時、
誰かになすりつける事で、
穢れから逃れられるのですが、
えんがちょ、ってやると、
触られても穢れがうつらないという風習です。


私達が子供の頃は、
「バリヤー」
とやっていましたが。








そのうち、集団でのいじめに応用され、
A君をいじめる時に、

「A君菌がうつる、えんがちょ」

といういじめにつながって行く訳です。




残酷ないじめですが、
子供のやる事は基本的に大人の真似です。


何を真似しているのかなあと考えると、
一つは、ハンセン氏病予防があると思うのです。


政策として行われた、いじめです。





その当時の日本の感染予防の基本は、

隔離してえんがちょ

です。



ばい菌=汚い物

という発想のもと、大騒ぎして
寄るな触るな、
というのが、
感染予防の歴史です。




その後も、HIVをはじめ、
SARSに新型インフルエンザと、
多くの感染症に対峙し、
学ぶ機会を与えられてきました。



そして今回。


帝京大病院で院内感染 多剤耐性菌で9人死亡か、4カ月報告せず


院内感染 悪質な隠蔽許さぬ処分を


厚労省、帝京大病院へ緊急の立ち入り検査へ 多剤耐性菌の院内感染受け


帝京大病院の院内感染、医師らから任意で聴取 警視庁


帝京大病院の院内感染、死者34人に



「帝京大病院、えんがちょ」

です。



確かに報告が遅れている事は、
非難されるべき事かも知れません。



しかし、
アシネトバクター菌というのは、常在菌で、
別に届け出伝染病ではありません。


しかも、マスコミは
院内感染と日和見感染の区別すら
ついていません。



病院で感染症にかかる≠院内感染



院内感染というのは、
清潔操作など怠って患者さんに感染症を起こしたり、
感染力の強い感染症の対策を怠って感染拡大させたり、
といったものです。



原疾患等で免疫力が落ちた人が、
普通の人には感染しない感染症にかかるのは、
日和見感染です。



たとえば、AIDSの患者さんが、
最後肺炎で亡くなるのは、
院内感染なのでしょうか?




日和見感染は
患者さんの免疫状態によっておこるもので、
対策は原疾患の治療のみです。




さて、話題の
アシネトバクター菌ですが、
先程も書きましたが、
どこにでもいる常在菌です。

多分、細菌培養しても、
検査科からのレポートには、十把一絡げで
常在菌のみ
と書かれるやつです。



ショッカーで言うならば、
「イーーッ」
と言っている雑魚戦闘員並みの扱いです。



しかも、
「多剤耐性アシネトバクター菌」
って、もともとアシネトバクター菌は
抗生物質が効き難い菌です。



これって、マスコミが最も嫌う、
「大きな巨大ハンバーグ」
的な重複表現じゃないでしょうか?





多剤耐性緑膿菌とかも、
違和感を感じる表現で
なんか、頭の悪い人のしゃべり方
みたいな印象を受けます。




まとめると、
アシネトバクター菌というのは、
防御は鉄壁だけど、
普通の人には一切攻撃して来ない

ドラクエで言う所の

「アストロン」

みたいなものです。



新たに耐性化を起こしたアシネトバクター菌
と言って大騒ぎする厚労省やマスコミを見ると

吉野家特売キャンペーン

牛丼並盛0.3%増量


なんて看板に、
嬉々として行列をしているかのような
滑稽さを覚えるのです。


勿論、
感染対策に問題が無かったかを、
検証していく必要はあります。


しかしそれは、お上による

えんがちょ

ではなく、
あくまで科学的かつ論理的に
行われるべきです。




こういう常在菌の日和見感染は、
まじめに感染対策をして、
しつこく細菌培養検査をしないと
同定出来ないものなので、
私個人としては、
公表して対策に乗り出した帝京大学の判断は、
英断であったと考えています。



そういう所に、警察の介入は、
引っ掻き回して、挙句の果てに
検証作業を遅らせる結果にしかなりません。


皆さんきっと、
医療問題を捜査する警察官は、
医学知識にある程度精通している
と考えられていると思います。

しかし、
警察の人と話す機会は何度もありますが、
彼らの医学知識は、
時に一般人以下だったりします。

ネットで簡単に得られる知識すら、
持ち合わせていません。



捜査なんか入られれば、
基本的な初歩の初歩から説明が必要で、
かなりの営業妨害となります。

















そして、今問題になっている
NDM-1遺伝子の問題と、
このアシネトバクター菌は
切り離して考える必要があります。









NDM-1遺伝子を、
攻撃力や感染力の無い菌が
獲得するのは全く怖くありません。


今回一番注意すべきなのは、
肺炎桿菌や大腸菌の中から
NDM-1産生菌が分離されている事です。



こちらは、十分警戒が必要と思われます。
(マスコミの食い付きは悪いですが…)


何が重要で、何が問題か、
厚労省もマスコミも、もう少し勉強して頂きたい。

池上彰に
厚労省で講義して貰えば良いのに、
と思います。


とりあえず、美しくない日本語である、
「多剤耐性アシネトバクター菌」
という表現から、改めて頂きたい
と思う今日この頃です。





参考リンク

多剤耐性アシネトバクター感染事例に対する警察捜査に抗議-日医


多剤耐性菌感染症の集団発生(いわゆる、アウトブレイク)問題に関する全国医師連盟の見解


不毛なアシネトバクター騒動とその背景にある誤解 青木眞(感染症コンサルタント) ~日経メディカルオンラインより~



NDM-1およびNDM-1産生菌の特徴 ~日本感染症学会~




以上、現場からまるごがお伝えしました


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