薬物依存

皆さん、

「パブロフの犬」


という実験を聞いた事があると思います。


犬に、ベルを聴かせた後、餌を与える。

これを繰り返すうちに、
ベルの音を聴かせるだけで、
唾液が出てくるようになる。

という実験で、
条件反射、と呼ばれています。



動物において、
特定の刺激に対する反応として
意識されることなく起こるものを
「反射」と呼びます。


膝蓋腱反射などが有名ですが、
熱い物を触ると思わず手を引っ込める、
なども反射になります。





これらは先天的に持っている
「無条件反射」
という本能になりますが、
繰り返し条件付けする事で、
後天的に獲得できる反射を

条件反射

と呼びます。











田代、4度の逮捕、書類送検…転落の軌跡 ネットで人気の「神」もクスリと縁切れず






こうなる事が分かっていて、
尚且つ十分反省していて、
それでも何故か薬に手を出してしまう。



人間のクズだから。
だらしないから。
病気だから。



そう言ってしまうのは簡単です。


まあ、確かに病気は病気です。
ただ、皆さんが考えている以上に、
再犯率が高いのが、ドラッグ犯罪です。



たとえば、
一般的に再犯率が高いと思われている、
性犯罪を例にとります。


性犯罪は、病気だから、
一度やったら必ずまたやる。

というのは定説です。


しかし、その再犯率は、日本で約5%
アメリカでも12%程度です。



対して、覚醒剤などの薬物犯罪は、
再犯率が42%程で、
1年以内に27%が再犯で捕まるそうです。



まあ、犯罪学に詳しい訳ではないので、
数字の比較について
深く言及する事は辞めておきますが、
とにかく薬物事案は、再犯率が高い。





薬物依存というのは、昔から
薬理作用としての習慣性の強さなどで
説明されてきました。




我々が鎮痛剤を使う時
オピオイド(麻薬)系の鎮痛剤は、
強力な物ほど依存を形成しやすく、
量を使うほど、依存形成しやすい
と言われてきました。


ペンタゾシンという薬は、
モルヒネに比べて効果が弱く、
モルヒネなどが作用し、
依存形成に関わるとされている
μ受容体に拮抗的に働きます。

よって、依存形成し難いと言われ、
医療現場で広く使われています。


だいたい、
「たくさん使うと習慣になる」
と言って、一日の使用量を制限して
使われる事が多いです。




その結果、日本中に沢山の
ペンタゾシン中毒患者
を送り出して、社会問題になっています。



モルヒネやフェンタニルといった強オピオイドを、
24時間持続で使っても依存症なんて起きないのに、
ペンタゾシンを一日数回打っただけで、
簡単に依存症を形成してしまいます。




その理由については、薬物中毒治療の第一人者である
下総精神医療センターの平井愼二先生が、
明快に説明されています。






薬物依存=条件反射






そう言われてみれば、非常に腑に落ちます。



痛みがある⇒ペンタゾシンを打つ⇒痛みが取れて気持ちが良い

ペンタゾシンは作用時間が短いので
またすぐ痛みが来ます。


痛い⇒打つ⇒気持ちが良い⇒痛い⇒打つ⇒気持ちいい……



そうすると、
気持ちいいという結果を得る為に、
脳が痛みを作り出します。


こうやって、せっせと条件付けをして
病院で中毒患者を作っていた訳です。


因みに私は
ペンタジンの反復投与が必要な痛みに
フェンタニル持続投与を積極的に行うようにしてから、
鎮痛剤依存は経験しなくなりました。






つまり、ドラッグ中毒も、

薬物使用⇒快楽⇒禁断症状

という繰り返しで条件づけされた、
条件反射なのです。



梅干しを見ると唾液が出るように、
理性と関係なく、無意識の行動として
ドラッグに手を出します。



画像


画像





危険だと分かっていても、
目を逸らせないのが薬物中毒です。







先程紹介しました平井先生によりますと、
薬物依存は治す事が出来るとのことです。



条件反射抑制療法という方法で、
要は、条件付けの手法を逆手にとり、
ドラッグを使う真似をして、
成功体験の空振りを繰り返し体験する事で、
欲求を低下させる方法だそうです。



詳しくは、下記リンクをご参照ください。


嗜癖行動の生理的メカニズムと条件反射抑制療法





ただ、成功体験を経験すると、一発で元に戻ります。


治療には、ドラッグと遠い環境に行く事が絶対条件です。

逆に、単純にドラッグと切り離すだけでは治療は出来ず、
必ず専門治療は必要になります。








治るけど道のりは遠い。

積み重ねた努力も、
一回のドラッグ再開でふいになってしまう。




辞めようと努力していても、
目の前に置かれれば、
脳から送られる信号で、
掛かる火の粉を払うがごとく、
反射的に手を出してしまう。



それがドラッグです。



田代被告も、ダメ人間と言えばそれまでです。

ただ、必ず手を出すにもかかわらず、
目の前にドラッグを置いた人は、
それ以上に罪深いと私は考えます。



だから
ドラッグは、使うより売る方が罪が重い。






ドラッグ中毒に関しては、
社会的制裁と医療援助の
二つが必要とされています。



本来は、社会的制裁と医療援助が
同時進行するのが理想です。



しかし、今それを実現できる受け皿はありません。

これについて、平井先生は
下記のリンクの様に述べられています。



薬物需要削減のための取締処分と援助の∞型連携 下総精神医療センター 平井愼二







需要があるうちは、
ドラッグを売る悪いやつはいなくならないし、
需要が大きくなれば、
その組織も肥大します。







ドラッグ中毒者に、厳罰を与えてあとは放置、
では、需要は減らせません。




治安維持の為には、
ドラッグの需要を増やさないよう、
薬物依存者への支援が不可欠になります。





どんなダメ人間であろうと、
社会が関わり続ける事が、
ドラッグ犯罪を減らすため不可欠と考えます。




以上、現場からまるごがお伝えしました。



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この記事へのコメント

kekorin
2010年09月17日 07:43
ホントにその通りだな~逃げては駄目だ。
通行人
2011年05月18日 16:23
薬物依存=条件反射

言えそうではないですよ。

物理的脳医学、元素を調べてみて下さい。

精神面だけではないのですよ。

肉体的依存は中期間なのですがその間に我慢できずに使用すれば繰り返すことになります。ちゃんと脳の方で物理的に欲してしまうのです。単なる精神依存からではないのです。その中期間は精神、肉体と両方で欲すので大変なのです。

それを我慢できれば後は精神依存、これはかなりの長期間ですね。何十年という人もいます。

条件反射ではなくトルエンもタンパク質の構成割合が多い炭素と水素の化合物で脳がこれらの元素を拒絶しないでタンパク質成分として受け入れられやすくなってしまうのです。

これはサイエンスの書籍で説明されています。

当然覚せい剤も相でこっちはもっと脳にフィットするよう化学合成されています。

だから物理的な働きを伴いながら中毒になっているのです。
真帆
2011年09月13日 04:29
これはきちんとやれば治る治る病気だと私は思います!!!!
調査中
2015年09月23日 12:29
条件反射抑制法を調べていてこちらのページに辿り着きました。

今から取り入れようとしています。

読んででいて分かりやすかったです。

ありがとうございました。

(こちらのページへのリンクを貼ってもよいでしょうか?)

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